バックテスト
バックテストは、いわばタイムマシンごっこです。「こういう条件になったら買い、こうなったら売る」というルールをひとつ決めて、過去のチャートに戻り、そのルール通りに機械のように売買したことにして結果を全部合計してみるのです。勘や記憶ではなくデータで数えるので、「あのとき買っていれば儲かったのに」といった都合のいい記憶の罠を避けられます。
たとえば「RSIが30を下回ったら買い、24時間後に売る」というルールをバックテストするとしましょう。過去2年分の1時間足でこのシグナルが500回出て、そのうち260回は24時間後に価格が上がっていたなら、勝率は52%です。コイン投げが50%ですから、このルールはコイン投げよりほんの少しマシな程度だと分かるわけです。
勝率だけを見てはいけません。当たったときにいくら稼ぎ、外れたときにいくら失うかも一緒に計算する必要があります。勝率52%でも、勝つときに1%ずつ稼ぎ、負けるときに2%ずつ失うルールなら、口座は減っていきます。さらに毎回かかる手数料を引くと、薄い優位性は丸ごと消えてしまうこともあります。
バックテストが壊れる定番の原因は3つです。第一に未来情報のリーク — その時点では知り得なかった情報(例:その日の終値が確定する前の値)をこっそり使うと、成績が偽物のように良くなります。第二に手数料・約定の見落とし — 実際には手数料がかかり、望んだ価格で約定しないこともあるのに、これを抜かすと楽観的な数字が出ます。第三にサンプル数の不足 — シグナルが過去に10回しか出ていないなら、勝率70%もただの偶然かもしれません。
ですからバックテストは、「このルールで稼げる」と証明する道具ではなく、根拠のない通説を数字で確かめる道具として使うのが正直な使い方です。「売られすぎなら反発するらしい」という話を聞いたとき、実際に数えてみたらどうだったのか、過去の分布を確認するのです。未来予測ではなく過去の記録だという点さえ忘れなければ、初心者が通説とデータを区別する練習として一番の教材になります。
What the data actually shows
バロバラのセットアップカタログと/oddsページが、まさにこのバックテストの結果です。ビットコインのチャートでよく使われるシグナルが過去に実際に何回出て、その後上がったケースが何%だったかをそのまま公開していますが、先に結論を言うと、ほとんどのシグナルはその後の上げ下げがほぼ半々です。たとえばRSI売られすぎ(1時間足)の結果を見れば、「売られすぎだから反発」という通説が実際の数字とどれだけ違うか確認できます。手数料が結果をどれだけ削るかは手数料ページで見られます。Common misconceptions
「バックテストの勝率が高ければ稼げる」はよくある誤解です。勝率は何回当たったかを数えるだけで、当たったときにいくら稼ぎ、外れたときにいくら失うかは教えてくれません。勝率90%のルールでも、10回に1回大きく負ければ口座はマイナスになり得ます。
「過去に通用したからこれからも通用する」も危険な考えです。相場の空気が変われば、過去によく当たっていたルールが当たらなくなることは珍しくありません。バックテストは保証ではなく、過去の記録にすぎません。
FAQ
Q. バックテストはプログラミングができないと無理ですか?
自分でやるにはプログラミングが必要ですが、すでに計算された結果を見るところから始めても十分です。バロバラの/oddsページのようにシグナル別の過去の結果を公開している資料をまず読んでみて、自分でやるときは手数料の反映とサンプル数の確保に特に気をつけてください。
Q. バックテストの勝率が52%なら良いほうですか?
コイン投げ(50%)と大差ないレベルで、手数料を引けば消えてしまうかもしれない優位性です。しかもサンプル数が少なければ、その2%ポイントの差自体が偶然の可能性もあります。勝率ひとつだけでなく、サンプル数・損益の大きさ・手数料を一緒に見る必要があります。